アパート・マンションのリノベ前に賃貸オーナーが知っておくべきこと

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リノベーションをする際、周辺の賃貸ニーズや建物の構造・仕様など、工事の前に知っておくべきことがあります。何が必要なのか解説します。

大家さん

築38年の木造アパートを所有しています。リノベーションすれば物件を新築のように作り替えられると聞いたのですが本当ですか?工事を依頼する前にやっておくべきことがあれば教えてください。

代表取締役社長 松島

リノベーションをすれば、お部屋をきれいにするだけでなく付加価値をつけて新しいお部屋に作り替えることができます。ただ、お部屋の間取りやコンセプトを考えるときに、なんでも自由にできるわけではありません。リノベーションプランを考える際に必要なことをご説明します。

目次

自分の物件の周辺状況を調査するときのポイント

前提として、信頼できる不動産会社とのお付き合いがあるなら、相談をして調べてもらうのがベストです。

周りには信頼して任せられる会社がいないというオーナー様は、こちらで紹介するポイントを参考にしてみてください。

すぐにできる!最低限やっておきたい調査とは

最低限やっておきたいこととしては、自分の物件と同じような間取りの近隣物件について以下の3つを調べます。

  • どのくらいの賃料か?
  • 敷金礼金などの条件はどうなのか?
  • どれくらい空室があるのか?(=市場にある在庫)

もし余裕があれば、調べる物件の間取りの条件を広げることで、条件の違いでどれくらい賃料や空室の差があるのかも把握できると思います。

これはインターネット検索をすれば家にいながらでもすぐに調べることができます。

代表取締役社長 松島

このとき、ついでにご自身の物件についても調べることをおすすめします。チェックするポイントは、ポータルサイトに掲載されている写真は魅力的か?暗い写真ではないか?日当たりは調整されているか?など。また、場合によっては管理会社が囲い込みをしている可能性もありますので、そもそも自社物件がちゃんと掲載されているか確認しておくことが大事です。

時間をかけられるなら!現地調査と不動産業者へのヒアリング調査がおすすめ

しっかりと時間をかけて調査ができるのであれば、周辺環境や入居者ニーズを調べることで分かることがあります。

たとえば、ファミリーなら大きな公園があって子供が遊びやすい、スーパーがたくさんあって買い物に便利というポイント。

単身者ならコンビニが近い、夜遅くまで空いてるスーパーがあるなど。可能であれば、一度自分で周辺を歩いて実際に入居者目線で周辺環境を見てみると意外な発見があるかもしれません。

次に、どんな入居希望者が多いのか、どんな物件が人気があるのかをよく知っているのが周辺の不動産会社です。不動産会社に周辺の入居者層やニーズを聞いてみるとわかることがあります。

不動産会社へのヒアリング

不動産会社にヒアリングをする場合、上記で紹介したようなリサーチをもとに、事前に質問事項を用意しておくことが重要です。

準備をしておくことで、具体的なリサーチができて空室が埋まらない問題が明確になりやすいです。

もし準備をせずに話をすると、「こんな物件が人気」という話が出てきたりします。

あまり考えずに、築浅、賃料が安い、広い、駅近などの物件を言っているだけのこともあります。

どんな家族構成の入居希望者がいて、どんな理由で入居先を探していて、どんな物件を希望しているのかなど、具体的な質問をすることで詳しい情報を得ることができ、間取りや設備、デザインを考える際の参考になります。

役立つこと間違いなし!不動産会社に絶対に聞いておきたいこととは?

不動産会社に話を聞きにいくのなら、ぜひ聞いておきたいことがあります。「自分の物件と同じような条件の物件で入居者が決まっている物件はあるか」ということです。

入居者が決まっていれば「条件が一緒なのになぜ自分の物件は決まらないのか」を聞くことで、何か原因が出てくるはずです。

たとえば「広告料がついているので、オーナーのレスが早くコンタクトしやすいから」など、具体的な答えが返ってきます。

もし内見はしているのに決まっていないのだとしたら、内部に関する話が出るかもしれません。

共用廊下の汚さや室内の汚さなど、見落としている部分がわかればすぐに改善することも可能です。

賃料値下げ?築20年を過ぎたらリノベーションでバリューアップも検討

不動産会社に話を聞きに行くと、「値下げしたら入居が決まる」という話は必ずと言っていいほど出てきます。

一度値下げすると元に戻すのはほぼ不可能ですので、慎重な判断が求められます。もし築20年を過ぎているのであればリノベーションを考えてみてもいいかもしれません。

築20年を過ぎると内装が古びてきたり、少しずつ設備にガタが出てきたりします。

そうすると入居者が敬遠している問題を解決するには、設備の取り替えなどの工事が必要になることがあります。

もしそうなれば、費用をかけて設備を新しくするだけよりも、プラスアルファの費用をかけてリノベーションをした方が、バリューアップできるためキャッシュフロー的にもお得です。

リノベーションであれば、ガラッと物件を作り替えることで、家賃を上げながらさらに20年は入居者に選ばれる物件にすることも可能です。

もし長期的に物件のことを考えたい、家賃を上げて入居者も獲得していきたいと考えるのであれば、リノベーションも選択肢のひとつとして検討が必要かもしれません。

後で困らないために。大家さんが知らなければいけない建物の仕様

リノベーションは自由に室内を変更できるわけではありません。リノベーションする際には建物の仕様に合わせる必要があります。

周りにリノベーションをした方がいれば、スケルトンにしたという話を聞いたことはないでしょうか。スケルトンは躯体だけの状態に解体して工事することを指します。

躯体は柱や梁、筋交い、基礎など動かせないものです。つまり、リノベーションは躯体に合わせて間取りを考えることになります。

キッチンのダクトや水道メーターの位置は要注意!費用がかさむことも

たとえば、キッチンのダクトは梁をまたぐことができません。また、天井高で気をつけたいのが梁下の高さ。

もし、排管の位置を変えるために床を高くする必要があると、梁下の天井が著しく低くなる可能性があります。

水道メーター等の仕様

パイプスペースや水道メーターの位置も注意が必要です。水道メーターは一般的には部屋の入り口横にあります。

それなら何も問題はないのですが、なかには玄関扉から離れた位置にあったり、廊下の反対側にあったり、メーターを一箇所に集中させている物件があります。

玄関扉から離れている場合、地面に埋まっている部分の入れ替えが難しくなります。

また、集中管理しているものにいたっては、中がどうなっているのか分かりません。そのため、交換が難しく、費用も通常より多くかかってしまいます。

床や給湯設備の状況を把握しておくとプランニングが楽になる

他にも内装の細かい部分に関して、床や給湯設備などは事前に知っておくとプランが立てやすくなります。

マンションの管理規約の中には「床を貼り替える際には遮音性能LL45を確保する」と記載されていることがあります。

この場合、記載された遮音性能を担保するものでないと床材として使えません。遮音性能を満たすために床材の下にクッション材を入れる場合、天井高が低くなることがあります。

給湯設備に関しては、今使っているものが電気温水器の場合、ガスが部屋まで来ているかを把握しておくとプランニングがしやすいです。

電気温水器は場所を取るため、部屋のスペースを圧迫します。ガスが来ていればガス給湯に変更できる可能性があり、電気温水器のスペースを有効活用することが可能です。

既存の物件の確認はもちろん、中古物件の購入を考えている方はここで挙げたようなポイントを確認してください。これらの問題がない物件であればリノベーションもしやすくなります。

建物の劣化ポイントは要注意!自分の物件の管理状態をチェックするときの項目

アパートなど一棟丸ごとリノベーションを検討する際には、建物全体の管理状態をチェックする必要があります。

せっかくリノベーションをしても、建物の状態が悪いと居室にも悪影響が出て長期活用ができなくなる危険性があるので欠かせません。

管理状態の差が出やすいのが建物の外側。外壁、屋根、屋上、ベランダ、階段や廊下などの共用部分を目視と管理記録でチェックしましょう。

建物の天敵は「水」!漏水には最大限の注意を払おう

特にチェックしておきたいのが漏水に関することです。

屋上や外壁から水が入り込んでしまうと、木造であれば腐る原因になります。

鉄筋であれば鉄が膨らんで表面が割れる原因になり、建物の強度が保てなくなります。

目視で分かるのが水漏れのあとやヒビ。屋上や外壁にヒビや水漏れの跡があれば早急に対応が必要です。また、タイル貼りをしている場合は、タイルのヒビや剥がれているところがないかをチェックします。

外壁や屋根、屋上の防水は記録を確認します。塗料によって違いはありますが、新築から20年以上防水をやり直していなければ危険です。すでに防水機能はなくなっているので防水工事をする必要があります。

他にも、コーキングは10年ほどで劣化しますので、10年以上工事をしていなければやり直しが必要です。

漏水の原因になる部分以外にも、階段やバルコニーなどの鉄部は腐食していると外観を損ない、崩落などの危険があります。

給排水管も傷むので耐用年数を大きく過ぎていると交換が必要かもしれません。 国土交通省から計画修繕ガイドラインも出ているので参考にしてみてください。

代表取締役社長 松島

外壁のひび割れなど、漏水の原因になる現象が見つかった場合、早急に対応が必要です。内装だけでなく外側の工事も必要になるため、対応が遅れるとリノベーション費用も高くなってしまいます。

まとめ

今回ご紹介したものはほとんどがすぐに確認できるものです。

基礎がダメになっているなど、物件の状態が悪すぎるとリノベーションをすることもできません。

少し時間をとって、物件の周辺状況の確認と物件の状態確認をしてみてください。

エイムズには、リノベーション物件を探している入居希望者の相談が年間3000組以上。そのため、お客様の要望や内覧時の反応、入居申し込み獲得状況など、リアルな情報を豊富に所持しています。

立地や広さなど物件の情報とリノベ物件に申し込むお客様の情報を合わせた、入居者が決まる提案で、施工後1カ月以内の入居獲得は約9割。月間5万人が利用する自社サイトでの客付けと合わせて、築古物件の空室解消、賃料アップを実現します。

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松島 力

この講座を解説したスタッフ

松島 力 代表取締役社長

東京大学工学部卒。2002年三井物産入社。化学品化学品本部に所属し、芳香族系のクレゾール・その誘導品、アンモニア誘導品のメラミンの事業責任者として、事業規模100億円程度の輸入、輸出、三国間取引を推進。 2008年ボストンコンサルティンググループ。金融機関の事業再生、電機・FA機器メーカー営業戦略、代理店戦略の立案に従事。2011年ハプティック株式会社の立上げに参画、取締役兼リノベーション事業部長。2015年エイムズ株式会社を設立。

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