賃貸マンションやアパートでリノベーションをする際、入居者ターゲットの設定やコンセプト設計が入居率を左右します。実際の事例とともに効果的な方法を紹介します。
リノベーションはターゲット設定やコンセプトの作り込みが大事だと聞きました。ただ、具体的にどうすればいいのかが、いまいちわかりません。どのような方法で決めていけば良いのでしょうか?
リノベーションにおいてターゲットの設定はとても重要です。ここがズレてしまうと、リノベーション後の入居付けにも苦労するかもしれません。そこで、ターゲット設定やコンセプト設計の方法とともに、エイムズで実際に手がけた物件でやった具体的なターゲット設定の流れをご紹介します。
目次
賃貸リノベーションをする際の入居者ターゲットの決め方
賃貸マンション・アパートでリノベーションをする際に設定するターゲットは、マーケティングリサーチをして決めていきます。具体的に必要な情報は以下の3つです。
- 部屋の広さ
- 周辺の競合物件の在庫数
- 立地
たとえば、一般的なワンルームや1Kなどであれば、そもそも部屋が狭いのでリノベーションをしたとしても、ターゲットは単身者のみです。
次に、周辺に単身者向け物件の空室がたくさんあれば、供給過多なことがわかります。
そのような場合、商圏を広めにみて中心部へ通勤する単身者をターゲットにする必要があるかもしれません。
立地的にも駅から離れていない、中心部への通勤がしやすい環境であれば、同程度の家賃でもっと良いお部屋に住みたいという方がターゲットになり得ます。
40㎡以上あるとなると1LDKにしたり広いワンルームで差別化したりなど、できることが増えるので、よりターゲットを絞っていくことが必要かもしれません。
この場合も、周辺の在庫状況や競合の家賃を参考にしながら、どのターゲットにすれば家賃が確実に上げられそうか、入居者が獲得できそうかをリサーチしていきます。
さらに広いファミリータイプの物件では、ターゲットをファミリーのままにするのか、子なし夫婦をターゲットとして1SLDKなどにするのかなど、選択肢も増えてきます。
このように、ターゲットを決める際には、部屋の広さで選択肢の幅が決まり、周辺の物件の在庫数や立地などでターゲットを絞っていくイメージです。
実際の賃貸リノベーションで行った入居者ターゲット設定を紹介!
事例1:近隣にない間取りにリノベーションして差別化。新築並みの家賃で成約!
まずは、埼玉県志木市にある築47年の築古物件のリノベーション事例を紹介します。
志木駅から徒歩5分で、広さは33㎡。広さ的には部屋を仕切って二人入居できる1DKなどにもできる広さです。部屋を仕切るのかワンルームにするかを決めるため、周辺の物件リサーチを行いました。
周辺の競合物件を調べてみると、1Kや2Kの部屋が多数あり、賃料はおよそ5〜6万円程度。空室もかなり多く、リノベーションをして綺麗な1Kにしても家賃は6万円程度だろうと予想されました。
リノベーション前
このような情報からエイムズがご提案したターゲットは、都心に近いところに住んでいる都心で働く単身者です。
33㎡という広さを活かし、現在20㎡ほどのお部屋に住んでいる方がもっと広い部屋に引っ越したいという需要を満たすことができると考えました。
さらに都心の物件と比べれば同様のクオリティの物件に住んでいれば家賃も下がります。
男性と女性はどちらもターゲットになるように考えつつ、住まいにこだわりの強い女性をメインに据えました。
リノベーション後
家賃は女性でも支払い可能と想定できる7万円に設定し、リノベーション前より2万円アップ。
そのため、ワンルームへ間取り変更し、バストイレ別、使いやすい広さのある独立洗面台も入れています。
通常、賃料設定は周辺の新築物件を参考に、新築の7割~8割という想定で考えますが、立地的な優位性を活かしてターゲットを広げることで家賃をさらに上げることができました。家賃をしっかり上げつつ、工事させていただいた3部屋すべてが工事完了前に入居者が決まっています。
事例の詳細はこちら「志木 築47年 木造 33m2アパートを内外装フルリニューアル」
事例2:細切れな間取りを広く使えるようにリノベーションして家賃を大幅アップ!
次に牛込柳町駅から徒歩4分、築30年近い物件のリノベーション事例を紹介します。
もともと、オフィスとして利用されていた物件で、広さは約60㎡。間取りは2DKのような形になっていました。
オーナー様としては中長期で安定した経営をしたいという要望をお持ちであったことから、住居メインにご提案をさせていただきました。
リノベーション前
部屋の広さは十分にあるため、ターゲットに合わせた柔軟な間取りが考えられます。2DKの間取りは古く人気がないのはもちろん、周辺にもそのような間取りはありませんでした。
加えて周辺には、築浅で同程度の広さの物件が、家賃を20〜25万円に設定しながら多数空室があり、供給過多でした。
とはいえ、普通に2LDKなどにしても競合が多く、住居専用マンションなどの方が住居としては優れていると考えられます。
そこで、エイムズはターゲットを単身で広いところに住みたい方と共働き夫婦、さらには共働きの在宅ワーカーまでを含めることをご提案させていただきました。
リノベーション後
リノベーションを行ったタイミングとして、コロナの影響もあり、今後もワークスタイルの変化が考えられることから、寝室部分にリモートワーク兼収納スペースを設け、在宅ワーク需要へ対応する仕様に。
さらにキッチンのカウンターを取り払ってリビングダイニングに変更してスペースを最大化。
玄関を入ってすぐのところは大きな土間仕様にすることで、周辺との差別化、ファミリーではなく住居にこだわりを持つ単身者やDINKS層をターゲットにした仕様にしています。
また、エリアの特性を考え、住居メインとしつつもSOHO利用可能とすることで、住居よりも家賃を上げることができています。
もともとオフィス利用で17万円の家賃でしたが、SOHO利用可能な住居とすることで家賃は5万円アップの22万円まで上げることができました。別のお部屋もリノベーションさせていただき、どちらもすぐに入居が決まっています。
事例の詳細はこちら「牛込柳町 築29年 RC 62㎡ SOHO向け土間付きフルリノベ」
賃貸リノベーションの効果を高める!コンセプトの上手な決め方
リノベーションのコンセプトは、ターゲットと競合の多さでほとんどが決まります。
あまり個性の強いお部屋はターゲットを絞ることになるため、通常はリノベーション物件らしさを出しながら、シンプルでナチュラルなテイストにすることがおすすめです。
他にも、日当たりによってクロスや床材の色などを変えるなどして、個性を出したり明るく感じさせるようにして広く見えるような配色をしていきます。
また、尖ったコンセプトが必要なのは、競合が多いときや不利な条件がある場合です。
競合が多ければ差別化をする、ターゲットをずらすなどの工夫が必要になります。
また、日当たりが悪い部屋であれば、暗くなりがちな印象をそのまま利用して天井躯体表しにしてワイルドな印象の部屋にしたりもします。
これまでに手がけたものでは、ただのペット可物件ではなく、猫との暮らしをコンセプトにした物件があります。
上記の写真にあるリノベーション事例のように、猫用のドアやキャットウォークを設置するなど、少し仕様を変えるだけで明確なコンセプトを作ることは可能です。これもターゲットを単身者に設定したこと、競合物件の多さなどからコンセプトを考えました。
この事例の詳細はこちら「王子 マンション一棟まるごとリノベーション 愛猫と暮らせる部屋」
リノベーションをするのであれば、コンセプトをひねることよりも、ターゲット設定をしっかりすること、リノベ物件らしい仕様に仕上げることが重要です。
ターゲットを明確にしていきながら、競合が多ければ周囲との差別化を図る部分を取り入れていくというスタンスでコンセプトを考えることで、ターゲットを狭めすぎない、安定して入居者が獲得できるリノベーション物件にすることができます。
周辺物件の状況を把握してターゲット・コンセプト設計をしていこう
ターゲット設定をする過程で、想定賃料や内装、設備などが決まっていきます。そのため、ターゲットが間違っているとすべてに狂いが生じる可能性もあります。
家賃のアップ幅の想定などは、ネットで近隣物件をリサーチしてみるだけでもイメージを掴むことが可能です。賃貸向けリノベーションの会社であれば家賃を上げるためのリノベーションを熟知しています。
自分の力だけでは限界があると感じれば、まずは無料見積もりなどをしてみてプロの力を借りてみてはいかがでしょうか。
エイムズには、リノベーション物件を探している入居希望者の相談が年間3000組以上。そのため、お客様の要望や内覧時の反応、入居申し込み獲得状況など、リアルな情報を豊富に所持しています。
立地や広さなど物件の情報とリノベ物件に申し込むお客様の情報を合わせた、入居者が決まる提案で、施工後1カ月以内の入居獲得は約9割。月間5万人が利用する自社サイトでの客付けと合わせて、築古物件の空室解消、賃料アップを実現します。
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