「リノベーションをすれば、建て替えるよりも安価で済み、家賃も上げられて空室も埋まる」ーその理由を長期活用時の利益を比較して解説します。また、リノベーションでも利益があまり出ない例外のケースも紹介しますので、参考にしてください。
建て替えをしようと見積もりを取ってみたら、予想以上に費用がかかることがわかって躊躇しています。リノベーションをすれば建て替えるよりも安価で、築古物件でも家賃が上げられる、空室がなくなると聞いたのですが、本当に利益が出るのでしょうか?
もちろん、リノベーションをしても利益があまり出ないケースはあります。ただ、建て替えをして利益が出せる立地であれば、リノベーションをすることで建て替えよりも利回りが取れるケースがほとんどです。今回は、建て替えと比較しながら、リノベーションで利益が出る理由をご説明します。
目次
建て替えとリノベーション、お得なのはどっち?
前提として、建て替えがリノベーションより利回りが良くなることはほとんどありません。
●築古物件を建て替えても利益は出ない?
空室の目立つ築古物件は建て替えれば空室が埋まる、利益が出る、という状況であれば、建て替えは有効な選択肢にはなりえます。
しかし、人口減少に伴い、全国の空室率は約19%とも言われています。賃料も減少傾向、良くて横ばいの状況です。
図1:共同住宅賃料指数の推移
一方で、建築費は2011年から2021年までで20%以上も上昇し、高騰が続いています。実際、建て替えをしようとするとリノベーションの倍ほどの費用がかかります。
そのため、建て替えをしても利益が出ない物件が出てきているのが現状です。そのような場合でも、リノベーションであればコストを抑えながら入居者も決められるようになり、しっかりと利益が出せる物件があります。
図2:共同住宅賃料指数の推移
出典:建設物価建築費指数 2021年5⽉分ー一般財団法人 建設物価調査会
●建て替え?リノベーション?築40年のRC造3階建ての収益を比較した場合
建築費2億円のRC造3階建て物件を築40年で建て替えた場合と、修繕・改良をしながら80年活用した場合で利益を比較したシュミレーションデータでは、改良をした物件の方が最大1.6倍の利益が得られるという結果が出たものがあります。
80年活用しようとすれば大規模修繕費用はそれなりにかかりますが、新築するのに比べれば安価で済むのが理由のひとつです。
また、工事にかかる期間も新築に比べ、リノベーションは半分ほどで済む場合が多く、加えて、空いたお部屋からリノベーションすることで、全部屋退去させないといけない新築よりも、収益を稼ぎながら、工事を進めることが出来るのも、利益に差が出る要因です。
これだけ長期活用できるのは、建物の耐用年数が長いから。耐用年数というと法定耐用年数を思い浮かべると思いますが、法定耐用年数は税務上の基準であり、建物が使える期間とはズレがあります。
建物が老廃化して物理的に建物としての機能を失ってしまう年数のことを物理的耐用年数といいます。木造で40年以上、鉄筋コンクリート造で70年以上と言われており、適切に維持管理することでさらに延ばすことも可能です。
そのため、空室が増加している原因がリノベーションによって解決できる場合、建て替えよりもリノベーションの方が利益を多く残せる可能性が高くなります。
●築年数の心配無用!築古でもリノベーションをすれば選ばれる物件に
賃貸物件探しで新築が好まれるのは間違いありません。一方で、学生と30歳未満の社会人にお部屋探しで重視したことを調査したデータでは、築年数と答えたのは学生14.3%、社会人21.9%です。
出典:30歳未満の学生・社会人の部屋探しを徹底調査 2019年度版ーat home
築古物件であってもリノベーションをして、使いやすい間取りに変えたり、設備を整えたり、内装を整えたりと、ターゲットに合った物件に作りかえることで、入居者から選ばれる物件になれます。
また、現代の若者には、良いものを長く使う、環境に配慮するという価値観が浸透してきています。
世界的なSDGsへの取り組みやエシカル消費という言葉が広まっていることからも、長期で有効活用していくことが推奨されていくようになるのではないでしょうか。
「築古だとそもそも入居者が決まらないのでは?」と心配される方もいらっしゃいますが、築年数はそこまで重要ではありません。リノベーション物件として募集をかけるのであれば、築年数を聞かれることはほぼありません。
●家賃2万円アップ!築47年アパートのリノベーション事例
築47年とかなりの築年数が経過していながら、リノベーションで家賃アップ、入居者がすぐに決まった物件を紹介します。
東武東上線「志木」駅から徒歩5分という立地。埼玉県新座市にあり、周辺の築古物件も軒並み苦戦を強いられていた地域です。
親族から引き継いだアパートは何年も入居者がいない状態で、内装の傷みも激しい状態でした。
相談した不動産会社からは更地にして売却することをすすめられるなどしており、オーナー様としてもリノベーションで入居者が入るのか不安が残る心境の中、ご相談をいただきました。
リノベーション前
東京の中心部へのアクセスが良かったため、都内で働くビジネスマンをターゲットに設定し、広さを感じられるワンルームにリノベーションしています。
木造ならではの手法として天井を抜いて高さを出して、居室を広く感じるようにしました。床にも無垢材を使い、リノベーション物件を探している方に刺さるような差別化を図っています。
リノベーション後
キッチンやトイレ、洗面台など、水回りも一新してタイル貼りにするなど、築年数を感じさせないおしゃれな仕上がりになっています。
リノベーション後すぐに反響があり、すぐに入居者が決まる人気物件になりました。
事例の詳細を紹介「築47年木造 33m2アパートを内外装フルリニューアルで工事中に全室満室に」
より利益を得たいならリノベーション!それでも建て替えを考慮しないといけない場合はどんなとき?
リノベーションをした方が利益は残り、築年数が経っていても入居者が決まることが分かりました。では、建て替えを選ぶのはどのようなときなのでしょうか?
利益重視ならリノベーションをおすすめしますが、他にも様々なお悩みや検討事項があるオーナー様もいらっしゃいます。建て替えを選択されるケースを簡単に紹介します。
積極的な理由としては、節税効果や容積率の緩和などがあります。キャッシュフローが安定している方などは、借金をすることによって節税効果を出したい方もいらっしゃいます。
また、容積率が緩和したことで現在の建物よりも大きなものが建てられる、部屋数を増やせるという場合には、建て替えで利益を増やすことも可能です。
リノベーションができないケースやリノベーションでは不安が払拭できないようなケースでも建て替えが選ばれます。
例えば、建物の躯体構造が劣化している場合、リノベーションでは対応しきれないため建て替えを検討することになります。基礎に問題が出ている場合も同様です。
他にも竣工図がなく耐震診断ができない場合や、相続までを考慮すると新築して潜在的リスクのない物件を残してあげたいというケースもあります。
まとめ
よほどの立地の良さや容積率を余らせているなどの事情がない限り、建て替えよりもリノベーションの方がしっかりと利益を出すことができます。しかも費用は約半分で、工事期間も半分で済みます。
入居者としても築年数という数字よりも、実際の内装の綺麗さや設備、間取りなどを重視しています。建物の寿命を最大限延ばしてあげながら、入居者のニーズに応えることが長期的に利益を残すポイントです。
エイムズには、リノベーション物件を探している入居希望者の相談が年間3000組以上。そのため、お客様の要望や内覧時の反応、入居申し込み獲得状況など、リアルな情報を豊富に所持しています。
立地や広さなど物件の情報とリノベ物件に申し込むお客様の情報を合わせた、入居者が決まる提案で、施工後1カ月以内の入居獲得は約9割。月間5万人が利用する自社サイトでの客付けと合わせて、築古物件の空室解消、賃料アップを実現します。
お問い合わせいただければ現地調査や市場調査を元にプランを作成します。お気軽にご相談ください。 クラフトリノベーションの事例集プレゼントはこちら