リノベーション工事の成否を左右するといっても過言ではない見積もりのチェック。ここでは見積もりの種類と、比較する際にチェックすべきポイントを紹介します。
リノベーションをしようと見積もりをいくつか取ってみました。しかし、各社で見積もりの書き方が異なり、金額以外にどんなところを見れば見積もりの良し悪しが判断できるのかがわかりません。
リノベーション会社ごとにフォーマットが違うため、並べて比較するのも難しいかもしれません。リノベーションの見積もりの種類と比較する際にチェックすべきポイントを紹介します。
目次
リノベーションの見積もりの出し方には2種類ある
リノベーションを依頼したときに出てくる見積もりは2つのパターンがあります。
それは、積み上げ型とパッケージ型です。
積み上げ型は、工事内容が事細かく書かれており、使う材料などもすべて指定されています。
一方でパッケージ型は、こんなことをまるごと一式で行います、という書き方がされています。
例えば、クロスと床の貼り替えやスイッチの設置などを基本工事一式として何円、造作キッチンへの入れ替え一式で何円などの記載が挙げられます。
工事項目がより詳細な積み上げ型の方が、価格の透明性があって良いのではないかと思われるかもしれませんが、おすすめはパッケージ型です。もちろん、それぞれにメリット・デメリットはあります。
「積み上げ型」で見積もりを取ったときのメリット・デメリット
積み上げ型の場合、不要だと思う工事を削っていく、それぞれの作業のコストを見直していくことでコストダウンできる可能性があります。
細かなチェックをすることでコストダウンができるのであれば大きなメリットです。
一方で、細かな見落としや、現地で壁や下地を剥がしてみたら問題が見つかったなど、見積もりに反映されていないことが工事中に見つかったときの柔軟性がなく、正確に見積もりの良し悪しを見極めることも難しいというのが、積み上げ型のデメリットです。
積み上げ型の見積もりは一般の方では内容がいまいちわかりにくく、オーナーの知識量によって出来上がりに差が出る可能性もあります。
積み上げ型は見積もりに反映されていないことや契約に盛り込まれていないことは対応しません。
そのため、見積もりを出すための現地調査や見積もりの作成に時間がかかります。もし工事が必要な部分を見落としていた場合、軽微な問題であればそのまま残されてしまう可能性もあります。
「パッケージ型」で見積もりを取ったときのメリット・デメリット
パッケージ型は、工事内容の詳細を出さない代わりに、現場で見つかった軽微な修正なども柔軟に対応してくれるのが大きなメリットです。
施工内容が細切れになっていない分、何の工事をするのかも明確で、この工事は単価がいくら、平米あたりの単価がいくらという基準があるため、工事に対する価格がわかりやすいのも特徴です。
そのため、現地調査をすればすぐに正確な見積もりを出すことができ、リノベーションに詳しくないオーナーでも内容の把握がしやすくなっています。
予算が少ない場合にも、予算を伝えて相談すれば最適な案を出してくれるはずです。 一方で、工事内容の詳細な費用内訳や使っている素材の品番などは見積もりに出さないため、細かな部分を事前に知っておきたいという方や、細かな部分でコストダウンを図りたいという方には不向きです。
また、それぞれの工事が一式として記載されていることもあるため、信用できる会社でなければ利益が多く上乗せされている可能性もあるかもしれません。
過去に手がけた物件を見させてもらい工事の仕上がりを確認すること、リノベーション後の物件の客付け状況を確認すること。この2点で工事会社のリノベーション工事への姿勢と効果がある程度わかると思います。
「積み上げ型」と「パッケージ型」、見積もり額はどれくらい違う?
もし、和室がある物件で和室を洋室化する工事が入ったリノベーションをした場合と、積み上げ型とパッケージ型では見積もりがどのように変わるのか、一例を紹介します。
積み上げ型の場合
- 押し入れ解体:〇〇円
- 押し入れ建具:商品名〇〇:〇〇円
- 床のレベル上げ:〇〇円(和室は床が低くなっているため)
- 下地造成:〇〇円
- フローリング:商品名〇〇:〇〇円
- クロス:商品名〇〇:〇〇円
というように、それぞれの単価が列挙されています。
和室の洋室化工事の一部を列挙しただけですので、実際はもっと多くの項目が並びます。
パッケージ型の場合、一番簡単な見積もりは「和室洋室化工事一式:〇〇円」です。
一式の中に、壁面の照明スイッチ取り付けや建具の交換などがすべて含まれています。
もし一式に含まれているか気になる内容があれば、見積もり提示の段階で確認すれば答えてくれるので安心です。
和室を中途半端に洋室化しているケースだと、天井が和室のまま残っていたり、壁面スイッチがなかったりすることがあります。
しかし、積み上げ型の場合は、このような工事が必要だということをオーナーが知っている必要があり、その点を見積もりで確認して指摘しなければ工事はされないということになります。
細かく指示をして言った通りのことだけをやってもらう方法が「積み上げ型」、最終的なゴールを共有して工事を柔軟に問題なくやってもらう方法が「パッケージ型」と考えるとわかりやすいかもしれません。
リノベーションの見積もりを取るときに外せないポイント
最初に見積もりを出してもらう段階では、会社選びが重要になります。
リノベーション会社の選び方は以下の記事で紹介しているので参考にしてください。
できれば2〜3社ほどから見積もりを取りましょう。
あまりに依頼した会社数が多すぎると打ち合わせや内容の確認で時間が取られすぎるため、この程度まで絞り込んで見積もりを取るのがおすすめです。
見積もりをもらった段階でチェックすべき点は以下の2点です。
- 相場とかけ離れていないか
- ちゃんと賃料が上がるか
相場よりも施工費が高すぎる場合でも、理由が明確で利回りがしっかりと取れるのであれば問題ありません。
逆に安すぎる場合も、どこかで無理なコスト削減をしている可能性があるため、理由を確認すべきです。
リノベーションにかかる費用は、40平米以上では平米単価10万円が一つの目安になります。詳しくは以下の記事を参照してください。
賃料アップの根拠を理解するには以下の記事が参考になるので、ぜひご覧ください。
利回りがしっかり取れるリノベーション工事かどうかを、見積もりと提案された内容から判断できれば問題ありません。
こっそり教える。リノベーション時にコストを抑える裏技
初めてのリノベーションで本当に効果が出るのか不安です。できれば少しでもコストを抑えたいのですが、何か良い方法はありますか?
提案を受ける際に具体的に予算を決めて相談してみると、リノベーション会社から具体的な提案が出てくると思います。リノベーションでコストを抑えられるポイントを簡単に紹介します。
一番コストを抑えられるのが水まわりの配置です。
トイレや風呂、キッチンなど、水まわりの配置を変更すると給排水管の位置変更や延長、排水のための勾配を作り直す必要があります。水まわりの配置を変えないようにすることでコストが抑えられます。
コストを抑える方法として、次に考えられるのが間取り変更です。間取りを変更して部屋を繋げるときに、床の高さや天井の高さが違うことがあります。
その場合は、床の高さや天井の高さを揃える工事が必要になるため工事費用がかかります。
2DKなどの古い間取りは間取りを変えざるを得ないですが、1LDKや2LDKなどの間取りであればそのままの間取りでも客付けできるプラン作りができればコストを抑えることが可能です。
他に考えられる方法としては、既存のものを残して活用することです。
どうしてもコストを削りたい場合、トイレはそのまま使うケースがあります。かなり古いものでなければ、トイレはそのままでも家賃に影響が出ないと判断できることもあります。
最後に、かなり限定的にはなりますが、短期売買のためのリノベーションであれば、給水管を変えずにそのまま使うことでコストを抑えることも可能です。
ただし、将来的には交換のための大掛かりな工事が必要になるため、長い目線で見ればかかるコストは増えます。
コストを抑える方法を紹介しましたが、基本的には必要なコストをしっかりとかけて空室を埋めること、家賃を上げることがおすすめです。
コストを削って効果が出ない、持続しないとなれば投資回収も危うくなります。コストの意識以上に長期に利回りが出るリノベーションにすることが大切です。
費用だけでなく、リノベ工事後の効果も見極めた見積もりの確認を
リノベーションの見積もりとコストを抑える方法について紹介しました。
漏れなくしっかり工事をしてもらうなら、リノベーションの専門会社にパッケージ型の見積もり、提案をしてもらうことで、あまり知識のない方でも見積もりのチェックがしやすくなるはずです。
リノベーションは原状回復などと違い、工事後の入居付けができるかどうか、賃料が上がるかどうかが重要になります。
費用の大小だけでなく、工事による効果がどれだけ見込めるかを中心にチェックするようにすれば、良い会社と巡り会うことができるはずです。
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