築年数が経つにつれて空室率が上がってしまった物件は、どのように対処すればいいのでしょうか。リノベーションで数多くの築古物件の空室解消・賃料アップを実現してきたエイムズが、空室が増えてしまった築古物件の再生方法と考え方を解説していきます。
現在、築30年の木造アパートを所有しています。だんだん空室も増えてきていて、このままアパートを所有していくべきか、正直悩んでいます。できればいろいろな選択肢を検討したうえで、決めていきたいのですが、このような築古物件にはどんな選択肢があるのでしょうか?教えてください。
築年数が経って空室率が上がってきた物件をどうすればいいのか、お悩みのオーナー様も多いのではないでしょうか。相続税対策として新築したアパートを相続した跡継ぎ大家さんからも、このようなお悩みをご相談いただくことがよくあります。 築古になって空室が増えた物件はどのように活用すればいいのか。活用方法と考え方を解説していきます。
目次
お金をかけて再生するならリノベーションor建て替え
原状回復をしただけでは物件の魅力が低く、空室が埋まらない状況であれば、リフォームやリノベーションで解決できることがあります。しかし、必ずしもリフォームやリノベーションで老朽化した物件を収益化できるわけではありません。場合によっては売却を検討したり、建て替えをおすすめしたりすることもあります。
まず、既存の物件にお金をかけていくのか、見切りをつけて売却してしまうのか判断をします。お金をかけていく、投資をしていくという判断になれば、リノベーションと建て替えのどちらが最適かを選択するという流れです。
それぞれのポイントを詳しくご紹介します
●築古物件でリフォーム、リノベーション(既存再生)を検討する際のポイント
老朽化した物件を活かす方法として最初に考えられるのが、リフォームとリノベーションです。実は、建て替えでリノベーション以上に収益を出せるケースは限定的です。そのため、投資回収率の面から、多くの方がリノベーションを選択しています。
リノベーションは、間取りや設備、デザインなどを変えて、物件に新しい価値を作り出す工事です。老朽化した物件は、ただ古くなっていることが問題なだけでなく、間取りや設備などが現在のライフスタイルや入居者のニーズに合っていないことが、賃料低下や空室の原因になっています。そのため、リノベーションして時代に合わせた物件に作りかえることで、空室の改善、賃料のアップが見込めます。
リノベーションを選択するポイントは、効果的に投資が回収できるかどうかです。例えば、ファミリータイプの物件で、㎡単価10万円工事を行うとします。40㎡であれば工事費用は400万円という概算が出るので、想定賃料が決まれば何年で投資回収できるか試算できます。リノベーションによって賃料が2万円アップすれば年間で24万円。利回りが約6%になるという計算です。
これであれば余剰資金を銀行に預けるよりも効果的だということが一目瞭然、リノベーションをするのがおすすめです。あまりお金をかけたくないというオーナー様も、まずはリノベーション利回りを確認してから判断されるといいでしょう。
ほかにも、物件利回りがリノベーション利回りより下回っている場合は、リノベーションを強くおすすめします。リノベーション利回りよりも低い金利で銀行から借り入れできる場合も、リノベーションを選択する価値があります。
売却から一転してリノベーションで満室に!築古アパートのリノベーション事例
エイムズで手がけた木造アパートのリノベーション事例を紹介します。
埼玉県新座市にある築47年木造アパート。2021年の2月に着工した事例です。
相続でアパートを引き継いだ40代のご兄妹がオーナーです。もともとは、ご兄妹のおじさんが管理をしていたのですが、積極的な空室対策は行っておらず、10年間も空室でした。
最寄り駅は東武東上線「志木駅」ということもあり、リノベーションしても部屋が埋まらないのではないかという懸念が残る状態。更地にして売却することも検討されていたようです。
エイムズに来られる前に相談した不動産会社からも「更地にして売った方がいい」と言われていたとのこと。しかし、1階に飲食店が入っていて、立退きをしてもらわなければ更地にもできないという困った状況になり、相談にいらっしゃいました。
早速リサーチをかけたところ、周辺の家賃は5万円くらいと低く、参考になる価格帯の物件はあまり見当たりませんでした。ただ、駅近であり都心までのアクセスは悪くないため、都心で働く人をターゲットとしてリノベーションすれば入居者が決まるのではないかと想定できました。都心で働くおしゃれな家に住みたい方であれば家賃も8万円くらいまで上げられると考え、施工することになりました。
工事中からエイムズの運営するお部屋探しサイト「リノベ百貨店」に掲載し入居者付けも同時並行。リノベーション中に入居者が決定し、現在も入居中です。
ポイントは無垢材と間取り。
オーナー様の意向としては、安く抑えたいという要望がありました。しかし、無垢材を使用しなければ周辺との差別化ができず、入居付けが難しくなる物件のため、フルリノベーションでご提案しました。
間取りは1DKにするかワンルームにするかで検討し、「インパクト」と「ターゲット」を理由にワンルームを採用。ワンルームにした方が部屋に入ったときに感じる広さのインパクトが強く、入居意欲が高まると考えました。また、2人で住むには狭いと考え、都心に通う独身者をターゲットとすると、広いワンルームの方が使いやすいという点で間取りを決定しました。
さらに、木造ならではの部分として天井にもこだわっています。天井を抜いて梁を表し、高く開放感のある天井に。これは木造だからできることです。
●築古物件の建て替えを検討する際のポイント
老朽化した建物を解体して、新たに建物を建てるのが建て替えです。かなりの費用が必要になるため、選択肢に入ってくるのは資金に余裕がある方になります。利回りや投資収益を考えるとリノベーションよりもハードルが高く、都心などの限定されたエリアでなければ効果が最大化されません。
投資効率の観点以外にも、将来的に不安のない物件にしたい、原因不明の漏水が続いているなどの場合では建て替えを選択がベストなケースもあります。
また、建て替え時にはいくつか注意すべき点があります。それは、以下の4つです。
- 条例、指導要綱
- 周辺地盤データ
- 工事のしやすさ(間口・道路幅・隣地との空間など)
- 基礎の有無、杭の位置
これらの内容によっては、必要な設備の増加、規模の縮小、工事費の増加などが発生し、思ったような計画が立てられないこともあります。調査は工事会社がするはずですが、上記のような注意点もあるということは覚えておきましょう。
●築古物件の売却を検討する際のポイント
物件を活かすと考えたときにはあまり念頭にないかもしれませんが、売却するというのも手段のひとつです。既存を活かすのが難しい、建て替えもできないとなれば、売却を検討しましょう。
田舎にある物件や都内でも賃料が安いエリアにある物件では、利回りが合わずに売却をおすすめすることがあります。例えば、八王子などは賃料が低いエリアもあるので、リノベーションしても利回りが合わないケースがあります。
基準としては、ワンルームの賃料が3万円を切っていると利回りが合うことはありません。ワンルームをフルリノベーションすると、200〜250万円程度の費用がかかると想定されます。もし賃料が月3万円だとすると、年間で36万円。費用回収に7年かかります。
この期間が許容できるかどうかで、売却かリノベーションかを選択することになります。他にも、問題のある物件を子供の世代に残したくないなど、特別な理由があって売却になるケースもあります。
築古物件の再生にはリノベーションの検討を
老朽化物件の活用を考えるときには、利回りが合うのか、投資効果があるのかを考えるのが重要です。建て替えに比べてハードルが低いリノベーションは、築古物件再生の第一選択になりやすいです。
リノベーションをして空室が埋まるのか、賃料が上がるのかというところは、マーケティング次第。そのためには、マーケティングを丁寧に行い、時代と立地に合わせた提案ができる会社を選ぶことも大事です。
これらの内容によっては、必要な設備の増加、規模の縮小、工事費の増加などが発生し、思ったような計画が立てられないこともあります。調査は工事会社がしてくれるはずですが、このような注意点もあるということは覚えておいてください。
エイムズには、リノベーション物件を探している入居希望者の相談が年間3000組以上。そのため、お客様の要望や内覧時の反応、入居申し込み獲得状況など、リアルな情報を豊富に所持しています。
立地や広さなど物件の情報とリノベーション物件に申し込むお客様の情報を合わせた、入居者が決まる提案で、施工後1ヶ月以内の入居獲得は約9割。月間5万人が利用する自社サイトでの客付けと合わせて、築古物件の空室解消、賃料アップを実現します。