リノベの裏の裏④:リノベ会社選び合ってますか?

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一口にリフォームやリノベ工事といっても、その内容はちょっとした原状回復やクロスの貼り換えから、大規模なリノベーションまで多岐に渡ります。簡単にネットサーチしたところ、リフォーム、リノベ会社は全国で9万社以上もある様です。

当然、9万社が全て同じ様な形態なわけでは無く、その種類や強みにより、同じ種類の工事でも、単価や仕上がりも会社によってかなり変わるので、求める品質や工事内容によって、使い分けることが重要ですが、意外に外部の方々からすると個々の違いが分かり難く、それが最終的な工事の成功、失敗に繋がっていることもあると思い、今回はリノベ会社の種類や選び方について、お伝えしたいと思います。

目次

工事の基本業務は設計、施工管理、施工の3つ

リフォーム、リノベ工事を進める上でのメイン業務は設計、施工管理、施工の3つで、夫々どこに強みがあったり、特価しているかによって、リノベ会社の強みが見えてきます。
大事なのは設計、施工管理、施工では必要なスキル、仕事内容、結果としての雇用形態や担当している方々が大きく異なり、上記ゆえにリフォーム業界では下請け構造が発達しているため、全てをカバーしている会社が無く、どこに強みがあるかは比較的分かり易いと思います。
例えばですが、図面に向き合っている設計士のイメージと、大工さんのイメージは人柄含めて、大分違うのは想像出来るかと思います。

その会社の強み、特徴を理解する

あくまで、会社としての傾向の話しですが、設計に強い会社はデザインや素材の質感について知見が深い反面、細かい職人の施工方法や素材のコスト、納期についてあまり分からなかったり、一方、施工に強い会社はデザインやデザイン面からの素材選定や細かいこだわりについては先回りして提案したり、拾えなかったり、お客様のご要望(特に抽象的なもの)を具現化して提案することが苦手だったりします。
どちらが悪いという話では無く、リフォーム工事において、一人で何役もカバーするのは法務的な知見や施工方法、納期、部材の知識、施主や職人とのコミュニケーションスキル的にも難しいためです。
現場に近くなればなるほど、誤解を恐れず言えば、少々の見栄えよりは、工期=コスト、施工性を重視しやすく、現場から離れるほど、見映えやデザインを重視する傾向があります。

もう少し分かり易く説明すると、
工務店型は、
親方兼職人がいて、図面通りにモノづくりをする会社さんで、メイン業務は施工で、他協力してくれる職人の手配や図面を共有する程度の簡単な指示出しがメインになります。デザインはもとより、作図等の設計業務はせず、書いても、手書きのメモ程度の平面図程度で立面図までは書きません。
一方、細かい現場の収まり、仕上がり、コスト計算や工期、原価出しが得意です。
得意な工事は、原状回復やちょっとした小修繕、補修工事の際に力を発揮し、複数の職種や大きな住設部材の発注を必要としない小工事で、元の状況に綺麗に早く戻すことが得意で、コストも安いです。

施工管理メイン型は、
設計から指示された図面をもとに、またはお客様(施主)の要望をもとに簡易的な施工図を作成し、工務店や職人に工事の依頼を行い、工程表の作成から、職人の手配や工事内容の指示出し、資材の拾い出しから、発注、納期確認を行い、最終的な現場での品質チェックも行います。また、必要に応じて、設計やお客様と詳細な納まりの確認や、設計図通りに施工出来ない箇所の内容確認、提案も行います。設計図だけでは伝わり難い細かい収まりや要望については、簡単な納まり図を作成したり、現場で直接職人に指示をしながら現場を収めていきます。
得意な工事は複数の職種や住設の発注が絡む水回りの工事や、既存を活かしつつ改修工事を行う賃貸リフォーム、リノベーション工事です。水回りや間取り変更が絡む中規模の工事を、コストを抑えつつ実施したい場合に強みを発揮します。

設計メイン型は分かり易く言うと、
建築事務所のことで、設計業務に特化していて、建築基準法や消防法に準拠しながら、お客様(施主)の要望をヒヤリングし、実際の間取りの提案や内装デザイン選定、実際の使用する仕上げ部材の選定までを行い、平面図、立面図、建具図等、詳細に図面に落していきます。
お客様が、比較的建築のことが詳しくない方の抽象的なご要望もヒヤリングを通して、図面に落とし込んでいくことが強みです。
一方で、住設等のコストや納期、部材の施工性、細かい工事の段取りついては、あまり分からないこともあり、施工会社とすり合わせながら、見積や工程を出していくことになります。
現場の確認も、基本的には設計通りのデザインに収まっているかが主な確認ポイントになります。

リノベ会社に求めることを明確にして、依頼先を選ぶことが必要

基本的に、工事自体はオーナーまたは不動産保有者→設計→施工管理→施工(工務店→職人)という順に仕事が流れていき、分業を明確にすればするほど、仕事の精度が上がっていく半面、コストや検討する時間も増えていくため、原状回復やプチリフォーム工事であれば、公務店型の会社で、安く早くシンプルに工事を行い。原状回復より規模が大きい、水回りの改修工事や比較的規模や単価の低い傾向にある賃貸のリフォーム、リノベーション工事であれば、法規制に触れることも少なく、細かい指示が無くても施工内容を提案してくれる施工管理型(一部、設計も兼ねる)に。ご自宅向けのリノベーションで、ある程度大規模な工事が必要で、間取りも含めて大幅に変更し、抽象的に実現したいこと、こだわりがある場合は、設計事務所、または設計機能を持つ工務店に依頼し法令も確認しながら、平面や立面はもちろん、建具等も図面に落して詳細を詰めていくことが基本になると思います。

もちろん、上記はあくまでも目安の話なので、自宅向けの大規模リノベーションでも、コストを抑えてリフォーム工事をしたいため、細かい仕様の指定はオーナー側で行ったり、または逆に基本デザインや仕様はある程度お任せで大丈夫ということであれば施工管理型が、仕様選定に加えて、細かい現場管理、工程管理や資材の発注、品質チェックもオーナー側で出来るので、その分コストを抑えたいのであれば、施工メイン型がハマることもあります。

ただ、工務店型の会社さんを選ぶ際に注意が必要なのは、最終的な品質チェックを誰がするかという視点です。特に水回りの交換や配置変え等が絡む工事の場合、工事の難易度が格段に上がるため、品質チェックをした上で、必要に応じて、手直しや是正が出来ていないと後々大きな問題になります。特にご自宅用に販売される物件だと、顧客が一般の消費者となりますし、工事金額に関わらず、不動産の購入金額も高額となるため、求められる基準が賃貸とは大きく変わります。

オーナーだけでなく、実は求職者に取っても、会社選びの参考に

上記はお客様がリノベ会社選びを行う際の視点という切り口で書きましたが、この業界で仕事探しをしている方にも参考になるかと思います。職人になりたい、または職人と同じレベルで現場業務について知見を深めたいという方は工務店型に、部材の選定や発注、職人への指示出し含めて、現場のプロジェクトマネージャー的な面での知見を深めたい場合は施工管理型が、現場というよりはデザインや意匠設計、法規関係に興味があり、そちらの知見を深めたい方は設計事務所型が合っていると思います。それぞれの希望するキャリアに応じて会社選びを行うと、入社してからのミスマッチも減ると思いますので、是非参考にしてみてください。

エイムズでは基本的に自社大工がいることからも、施工管理、工務店色の強い会社で、賃貸リノベーションをメインに行っていますが、施工精度の改良に向けて、自社での施工図面の設計スキルアップとともに、デザインや意匠提案も強化している状況で、最近ご自宅向けの再販案件も多く手掛けさせて頂いております。

今後も引き続き、設計、提案力の強化を図り、実需再販系の案件も多く手掛けていきたいと思ていますので、引き続き、温かく見守って貰えればと思います。

P.S.
余談ですが、ネットサーチによると、リフォーム工事件数の8割が100万以下の工事とのことで、現状世の中のリフォーム工事の大部分は施工管理、または工務店で対応出来そうな工事が大部分を占める様です。

松島 力

この講座を解説したスタッフ

松島 力 代表取締役社長

東京大学工学部卒。2002年三井物産入社。化学品化学品本部に所属し、芳香族系のクレゾール・その誘導品、アンモニア誘導品のメラミンの事業責任者として、事業規模100億円程度の輸入、輸出、三国間取引を推進。 2008年ボストンコンサルティンググループ。金融機関の事業再生、電機・FA機器メーカー営業戦略、代理店戦略の立案に従事。2011年ハプティック株式会社の立上げに参画、取締役兼リノベーション事業部長。2015年エイムズ株式会社を設立。

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