改善を諦めた業界?
先日、このブログを見て頂いた同業のリノベ会社の役員のIさんからお声がけ頂き、お互いの会社の事業内容から課題や改善点、目指す姿について、お話しする機会があったのですが、印象に残った言葉として、業界の特徴として、職人から施工管理まで、今、業界で従事している方が、「改善を諦めた業界」という表現をされていて、ある意味共感しました。
その方は新卒で今の会社に入り、リノベ事業の立ち上げから経験し、施工管理業務を7年程経験し、役員という立場になられた方でしたが、会社で手掛けている他事業部との比較からの印象だと思います。
自分も前職を含めて、10年程この業界に携わっていて、同じ様に感じることがあります。
会社立ち上げ当初から、未経験者採用をメインにしていたのですが、現場経験が少ないうちは、自力での施工管理能力の向上に限界を感じ、過去に一度、施工管理歴20年以上という経験者の方に入社して頂き、全社的な施工管理の業務改善を推進して頂いたことがありました。住宅のリノベについては戸建てからマンションまで、賃貸はもとより、実需案件の複雑な施工も経験していて、現場で起きることは何でも知っているほど、経験、知識の豊富な方でした。当時弊社の案件管理体制が混乱していた時期だったこともあり、入社直後から、色々な業務改善をリードして貰いました。例えば、担当者毎に違っていた図面フォーマットを統一したり、協力会社への発注単価を揃えたり、大工毎に多少違っていた施工内容を統一化したりと、非常に助かりました。
ただ、気になったのは、全社的な業務改善は非常に助けになったのですが、自分が担当する現場の施工管理、特に予算、工程管理が苦手なことでした。理由を聞くと、この現場は特殊で、と。また、自分の担当案件に周りから意見されることを非常に嫌がり、工程や残工事の内容、対応状況も周りのメンバに共有してくれない程でした。もちろん、リノベ案件で他と全く同じ現場というのは無いので、多少特殊なことはあるのですが、全社で業務の統一化を進めている中で、自分の担当現場だけは別という考えでは、周りとうまく行くはずも無く、結局、1年もたずに退社されてしまいました。
もちろん、弊社の受入れ体制がお世辞にも良かったわけでは無いので、その方が一方的に悪いわけでは無く、加えて、相性的な問題もあったのだとは思います。
社内の施工管理に限らず、日々施工頂いている協力会社の職人の方々も、年上の方が多いこともあり、既存のやり方を変えるのを嫌がります。以前、案件数の数に比べて職人の数が少ない時があり、工程変更が頻発し、職人さんへの連絡漏れが継続的に起きてしまったため、社内システムを開発し、工程変更の連絡は電話連絡からメールやクラウド上のカレンダーを確認して頂く方式に切り替えた時がありましたが、メールやカレンダーを確認するのは面倒だ、今まで通り電話連絡も欲しいというクレームが非常に多かったです。こちらとしては、電話連絡だと連絡漏れが頻発するので、システムに切り替えたので、電話連絡は無理という前提だったのですが。
もちろん、弊社システムからの工程変更メールが多過ぎて、いちいち見てられない意見もあり、これも単に職人が悪いわけでは無いことを付記しておきます。
ただ、業界経験が長く、業界を知れば知るほど程、閉鎖的になったり、案件の特殊化を強調するマインドになっていくのは、この業界の「あるある」なのかもしれません。
現場や職人の特殊性に逃げない仕組み、管理体制をどう構築していくか
上記経験を踏まえて、弊社では「この現場は特殊で、、、」という発言は禁句にしています。通常と特殊の現場の境なんてなく、言い出せば全て特殊になってしまいます。また特殊だから、通常の施工品質チェックや管理体制が適用されないとなると、個々の担当者の力量任せで最終的な施工品質や工程管理を担保する形にならざるを得ず、法的なことは別にしても、実質的な意味で会社として責任取れなくなってしまいます。当然適正な品質、工程が管理出来なければ、予算も管理出来ません。
また、施工管理担当者の力量任せということは、工事品質も平準化出来ず、基本的に下がる方向になると同時に、出戻りや残工事という形で、ここのメンバへの負荷も大きくかかってくることを意味します。
という訳で、特殊性と言葉に逃げないというのは、施工品質や工期の面で一定水準に品質を担保するのと同時に、施工管理担当への負荷も適性、最低限度にすることも担保すると考えています。
どの現場も、決められたルーティンを決められた順序で、決められたスケジュール通りにこなしていく。そのためには、各現場の特殊性を排除しつつも現場管理できる共通の各資料フォーマットや管理体制をどう構築していくかが、改めて重要だなと再確認出来ました。
Iさん、面談有難うございました。また意見交換、お願いします!